明所と暗所における海洋植物由来のイソプレン生産―噴火湾の海洋観測と珪藻培養 の実験より-

イソプレンは植物から放出される主要な有機ガス成分である。2016年2月から北海道噴火湾で毎月観測を行い、海水中のイソプレン(VOCの一種)とクロロフィルや栄養塩の濃度の鉛直分布を得た。3月に珪藻ブルームが確認されたときに、海水中のイソプレン濃度が増加した(Ooki et al., JO, 2019のFig 8)。現場観測により、単位クロロフィル当たりのイソプレン生産量を求めることができた。同観測では、光が届かない海底付近でもイソプレンの増加が確認されており、暗所において植物プランクトンからのイソプレン生産が示唆された。これら明所と暗所におけるイソプレン生産は、珪藻の培養実験によって検証された。

Atsushi Ooki, Ryuta Shida, Masashi Otsu, Hiroji Onishi, Naoto Kobayashi, Takahiro Iida, Daiki Nomura, Kota Suzuki, Hideyoshi Yamaoka, Tetsuya Takatsu (2019), Isoprene production in seawater of Funka Bay, Hokkaido, Japan, Journal of Oceanography, 75:485-501

 https://doi.org/10.1007/s10872-019-00517-6
大木淳之 提供図